四条エイジ随筆選

詩人・流言研究家・IT Editor・ITコンサルタント・コンプライアンスオフィサーが自由気ままに書き綴る随筆選。

大地の筆先

鮮やかに黄色く葉を染めた銀杏の樹から、風が吹く度にヒラヒラと葉が降っている。

まるで、大地から突き出た筆のような形をしている大きな銀杏の樹だ。

リビングから見える景色には一体何種類の植物がいるのだろうか。

少なくとも、今この時期は全ての注目を銀杏の樹が獲得しているように見える。

季節の主役は君だ。風に託して、そう伝えたい。

デマの心理学

流言研究において、最も有名な古典は「デマの心理学(オルポート、ポストマン)」である。有名な公式「R(流言の広がりやすさ)=i(重要性)×a(曖昧さ)」を提言したのが本書である。

この「デマの心理学」はなかなか入手が難しい本で、高い値で取引されている。私も先日、やっと入手した。年末年始の楽しみとして、じっくり読む予定だ。

 

デマの心理学 (1952年) (岩波現代叢書)

 

許す

今年、某有名大型ネット通販サイトで買い物をして、2回、注文したものと違う商品が届いたことがあった。

いずれも、出品者側のミスであり、解決したのだが、注文していたものが届くのに倍以上の時間がかかってしまった。

そんな時、「ついてないな」って、少々苛立ってしまうのだが、冷静になって、出品者のミスを許すことが大事である。

苛立って文句を言っても何も解決しない。また、人間はミスをするものである。上から目線ではなく、人間のミスを許容することは、自分の人間性を高める経験値となると自分に言い聞かせている。優しくなければ、強くなれない。強くなければ、優しくなれないだ。

白熱灯

私の書斎にはLED蛍光灯(3段階に明るさ調整可能)、LEDデスクスタンド、白熱灯の間接照明がある。夕方、仕事中に使うのは専ら白熱灯の間接照明である。

これは一人暮らしを始めた頃から10年以上使っている。当初はベッドサイドで使っていたものだ。白熱灯はLEDよりも電気効率が悪いし、熱を発する。しかし、寒い季節には暖か味があって、最適である。また、深夜にこの薄明かりの中で読書をすれば、心が落ち着き、眠りへと誘ってくれる。

思い返せば、子供の頃、勉強をする時はいつも蛍光灯と白熱灯をダブルで点けていた。そして、勉強を終えた後は蛍光灯を消して、白熱灯のみの薄明かりのなか、音楽を聴いて感傷的な気分に浸っていた。

「白熱灯好き」は、その頃に築き上げられていたのかもしれない。

会話の教科書

学生の頃、会話することが苦手であった。

何を話せば良いのか分からなかったのだ。

しかし、何を話せば良いかなんて考えることはナンセンスだ。

相手との関係の中で自然に会話が発生する。

何も考え過ぎないことだ。

しかし、言葉遣いやワードセンスはその人物の生活、知性や思考回路が反映される。

そして、話し方に一番影響を与えるのが、読書だと私は考えている。

活字で脳に刻み込んだ文章はその人の話し方に大きな影響を与える。

だから、私は美しい文章に出会った時は書き手に感謝するようにしている。

本は会話の教科書である。

会議が増える

在宅勤務中は書斎で仕事をしている。

そして、夕方になると、リビングから夕陽を眺める。

少し癒されて、また書斎に向かう。

在宅勤務では、コミュニケーションが弱くなると言われているが、むしろ逆である。

在宅勤務になってから、会議が増えた。

物理的移動が不要な分、会議への参加ハードルが低くなり、召集されることが多くなったのだ。

これはメリットであり、デメリットである。

会議に時間がとられて、資料作成や調査の時間が減る。

一方で、会議での情報共有がしっかりと実施されることになった。

いずれにしても、コロナが働き方の多様性を推進するきっかけになったことだけは確かである。

無意味なランキングと〇〇大賞

住みたい街ランキング、都道府県の魅力度ランキング、世界の美しい顔ランキング、流行語大賞とは、誰がどのようにして決定しているのだろうか?

一体何人の人に調査をして決定しているのだろうか?そもそも調査しているのだろうか?明確な根拠が示されないままに結果を見て、一喜一憂する人間は愚かだ。

住みたい街ランキングには某不動産仲介会社の意図が見え隠れする。都道府県の魅力度の測定には観光資源が重視されすぎているように思える。そうであれば、正確には魅力度ではなく、観光資源ランキングといった方が正しいだろう。美しい顔の基準なんて、個人によって違うし、全ての人間がエントリーされているわけではない。それならば、世界の綺麗な顔としての知名度が高い人ランキングの方がしっくりくるだろう。もしくは、選んでいる偉い人(仮にとあるおっさんとする)の好みの女性の顔ランキング。流行語大賞は毎年、某主催している会社のお偉いさんが勝手に決めているとしか思えない。たまに聞いたことがない言葉がエントリーされていたり、大賞になったりして驚く。

明確な根拠が示されないランキングを真に受けてはならない。あくまで、娯楽として楽しむものとして割り切る必要がある。